願い婚～幸せであるように～
「ありがとうございました。では、質疑応答に入ります。なにか質問等ございましたら、挙手願います」


他社ながらも興味深くなる内容のプレゼンを見て、落ち着いた気持ちがざわつく。川中さんが「うちも負けてない」と言ってくれたので、気持ちを奮い立たせる。

次は私たちの番だ。

中野課長からは医務室を借りて休んでいると連絡が入った。昨日から風邪気味だったこともあり、胃腸風邪のようだ。


「お次はライラインテリアさん、準備をお願いします」


川中さんが持参したノートパソコンをプロジェクターに接続する。動作確認を終えて、タイトル画面が映し出された。

私は前に出て、デスクに資料を置いてマイクを持った。プロジェクターのリモコンは川中さんが持つ。川中さんは、私の説明に合わせて、パワーポイントのページ送りをしてくれる。

カヤシマ不動産が今回のマンションに対して掲げたコンセプトは『季節を感じながらつくる世界にひとつだけの物語』。

それに合わせるようにしてライラインテリアが考えた内装のコンセプトは、『あなたらしい物語をここから始める』。

コンセプトを掲げるようにと要求はされていないが、あった方が分かりやすいと早奈子さんと考えた。
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