ママの手料理
緩くウェーブのかかった黒髪の間から覗く狼のような目が、俺を射抜く。


バイトの件は口を慎んでもらいたい、人に自慢して言える様な仕事ではないから。


「別にそんなに考えてないけど………銀河だって、調べ物って言いながらパソコンでたまにそういうの見てるの知ってるんだからね」


何て目付きの悪い…、と思いながら俺も言葉を返すと。


「おいふざけんな、お前だってバイトの分際で散々ラブホ行ってんだろうが」


「俺はバ・イ・トだから行ってないよ!そういう所に行けるのは正式社員だけなの!だから俺はお店の個室」


彼はいつも通り淡々と言い返してきて、俺も負けじと言い返す。


「どっちにしろヤってんだろうがクズ」


「いや快感なんて無いからね別に」


そこまで言って、彼の、はあ?、という声を聞いた俺は慌てて口を押さえた。


危ない、口を滑らせる所だった。



「お前、」


そして、銀河が何かを口にしようとした瞬間。


「あの、お取り込み中申し訳ないのですが……、紫苑様にこちらはどうでしょうか、?」


おずおずとした控えめな笑美の声が聞こえてきた。


「んー?何か良いのあった?」


お互いにすっと目を逸らし、休戦状態に入った俺はいつも通りの笑顔で彼女の方を見た。
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