ママの手料理
そんな事を言われても、何となくナルシストな彼と少しは打ち解けてきたと思っているのだから仕方がないではないか。


私は応戦しようと口を開いたけれど、


「紫苑ちゃん、あんな奴どうでもいいから俺と話そ?ね?」


いつもの様に横から伊織が割り込んできて、


「あ、うん!」


私は、彼の方を向いて笑顔で頷いた。



この生活が慣れてきてお互いに猫を被らずに過ごして、彼らが私にどう見られたいのかが少しずつ分かってきた。


例えば、伊織は話を割り込んででも私に1番に見てもらいたくてー大也も伊織と少し似ているー、


「何どういうつもりなの?僕より格下な情報屋のくせにふざけないで?とっとと土に還ればいいのに」


こんな風に、仁さんはとにかく自分を上に見てほしい…等。


2人のやり取りを見守りながら私がタピオカをすすると。


「隣座るね!……今日は紫苑ちゃん、元気そうだね」


私がうんともすんとも言わないうちに隣に座ってきた彼は、笑いを含まない口調で話し掛けてきた。


「………うん、っ、」


その瞬間に思い出す、忘れていた記憶。


ユウトは丸谷家きってのタピオカ好きで、あの事件の僅か3日前もタピオカが飲みたいと駄々をこねていた。


けれどタピオカを買うのが面倒くさかった私は、そのお願いを断っていた。


まさか数日後にあんな事になるなんて思わずに。
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