ママの手料理
少しだけ期待して彼の方を見たけれど、


「俺?…コンビニで飲み物買って来るけど、皆何か飲みたいものある?」


大也は微笑んだだけで、まるで何も聞こえなかったかの様に自然と話題を変えた。


「質問答えろよ……お茶」


「コーヒー」


「僕は要らないけど、笑美がオレンジジュースだって」


そして、それぞれが飲みたいものをリクエストしていって。


(え、何で答えてくれないのー!)


むすっとした顔の私に気付いたのか気付いていないのか、彼は私達を見回してふっと口角を上げて。


「分かった!じゃあ買ってくるねー」


そう言って、お揃いのボアジャケットを羽織って家を出て行った。




しかしその後2時間経っても、大也がコンビニから帰宅することは無かった。



「大也は何で帰って来ないの?もう10時半過ぎてるんだけどどういう事?」


この15分間、仁さんはほとんど同じ事を言っている。


「携帯置いてってるから、大也が何処に行ってるか分かんないよ」


新しいスマホで大也に電話をして、悲しい事にテーブルの上で電話のコール音が鳴り響いた事を確認した私は、それを彼に伝えた。


「もう何なのあいつ、本当に何処に行ったの!?」


仁さんには、私に敬語を使う様に脅す余裕も無い様だった。
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