ママの手料理
「ねえ大也は!?もう何処にも行かないでって言ったのに、意味分かんないんだけど!」


隣では、ソファーの周りをうろうろしながら仁さんがかなり大きめの独り言を言っている。


彼を安心させて静かにさせる為にも、行かなければ。


「私、大也が何処に居るか分かるかもしれないから、ちょっと外に行ってくる!」


私は仁さんの大声に負けない様にリビングに声を響かせると、買って貰ったボアジャケットを着てポケットにスマホを突っ込んだ。


「え?駄目だよ紫苑、今夜だし暗いし寒いし、誰か悪い人に襲われちゃうかもしれないよ?」


いつの間にリビングに居たのか、湊さんがーいつからか私の事を呼び捨てで呼ぶようになったー私を止めようとしたけれど。


「私、大也の居場所が分かるかもしれないの!心当たりある場所行って、そこに居なかったら帰って来るから!」


それに、仁さんがこれ以上うるさくなったら…、と私が付け加えると。


「あー、…そうだね。じゃあ、僕も一緒に」


「ううん、大丈夫!私が1人で行く」


私は、湊さんの申し出を断った。


何故か、1人で行きたかった。


「………分かった。じゃあ大也のスマホを持って行って、大也が居たら渡してくれるかな?それから、大也を見つけたら連絡してね。後、なるべく早く帰って来てね」
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