ママの手料理
「あ、発見」


それから少し歩いて、ようやく私は公園に辿り着いた。


あの日過呼吸になって駆け込んだあそこには、確かにブランコがあって、そして。


ブランコに座る、闇の中でも区別出来る茶色いボアジャケットがはっきりと見て取れた。


「大也、」


何をしているのだろう。


私は、そっと公園の中に入って行った。



全てを吸い込みそうな闇の中、ウイッグを付けていない真っ白な彼の髪色は私の目を奪った。


そんな彼は、ちゃんとコンビニの袋を手に提げていた。


(……大也、)


少しだけ揺れ動くブランコに、俯き加減の大也。


その背中は丸まっていて、あの日手を引かれた時に見た背中よりも小さく見えた。


「…大也?」


後ろから近付き、そっと声を掛けると。


「…えっ?」


慌てた様に彼は目を擦り、私の方を振り返った。


「あれ、紫苑ちゃん…?どうしたの、何やってるの?」


「何って、大也を探してたの。皆心配してるし、大也スマホ持って行かなかったでしょ」


不思議そうに聞いてくる彼に逆に驚いてしまう。


「…あ、スマホ………ありがとうね、わざわざ」


何処となくいつもよりもテンションが低い大也は、無理矢理作った様な笑みを浮かべて私からスマホを受け取った。
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