ママの手料理
「琥珀に悟られない様に、他の人にばれない様に頑張って隠して、その度に、何で俺は女の子を好きになれないんだろうって…自分が嫌になって」


叶わない恋って最悪だよ。まじでね、心臓が持ちません、と呟く彼。


「…………そうなんだ、」


事の一部始終を聞き終えた私は、神妙な顔付きで呟いた。


特に彼が気持ち悪いとかは思っていないけれど、今は驚きやその他の感情が私の中で蠢いていた。


「うん。………ごめんね、怖いよね、引いたでしょ…っ?」


コンビニの袋が音を立て、彼の消え入りそうな涙声が私の耳に入る。


「……引いてない。引いてないから、泣かないで大也」


頬を涙で濡らして、必死で嗚咽を堪えながら泣いている大也。


きっと彼は、今まで怖くて怖くて不安に押し潰されそうで、自分を受け入れたり認める事が出来なくて、誰にも言えずに凄く悩んできたはずだ。


だからもしかしたら、私に打ち明けられた事で少し気分が楽になったかもしれない。


けれどそれと同時に、自分の叶わない恋心を痛感しているのだろう。


「……何で、何で………っ、?」


浅い呼吸を繰り返し、目を擦りながら彼は掠れた声を絞り出した。



「普通になりたかっただけなのに……!」


「そんなこと言わないで、!」


思わず、私は立ち上がって彼を後ろからブランコごと抱き締めていた。
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