ママの手料理
と同時に、自分の家族を毛嫌いしている彼にこんな質問をしてしまった事は間違いだった、申し訳ないという気持ちも芽生えてくる。


｢僕の両親は麻薬をやっていて、そのせいで本当に狂っていたんです。僕への扱いもとても酷いものでした。…家族と暮らしていた間、僕は外の世界というものを全然知らなかったんです。皆、僕の両親の様に狂っていて壊れてて、暇さえあれば暴力を振るう様な最低な奴らで、誰かが罰を与えない限りこの悪夢は永遠に続くと思っていたんです｣


航海の台詞がどんどん早くなっていって、敬語さえあるもののその言葉から伝わる圧は余りにも大きくて、まるで私の知らない航海を見ているようだった。


ははっ、と笑って見せた彼の口角は完全に上がりきっていなくてまるでロボットの様で、その不自然な笑顔を見た私はどう反応する事も出来なくて。


｢両親…あいつらのせいで僕は笑い方も忘れて、ロボットみたいに敬語しか使えない、こんな価値のない人間になりました。だから…だからこそ、この世界に、ここの人達みたいに優しくて、この家みたいに心休まる場所があるなんて思ってもいませんでした｣


すみません話が逸れました、と平謝りした彼はそのまま言葉を続けた。
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