ママの手料理
けれど、『だからこそ…』と話していた彼の表情が自分の家族について話していた時よりも明らかに柔らかくなっていた事に気付いた私は、
「良かったね…」
と、自然と声を発していた。
航海もきっと、最初にここに来た時は沢山のストレスと孤独を感じていたはずだ。
初めての外の世界を前に、味方もいなかった彼は不安も沢山あっただろう。
何かあったら自分で何とかしなければ、と、きっと彼は私が想像出来ない程に周りの人全員を敵とみなしていたのだろう。
「あー…だから、僕の場合は…不謹慎ですけど、家族が死んですっきりしたんです。涙なんて一滴も出ませんでした。…けど、僕が思うに、紫苑さんのご家族は、紫苑さんが家族の1人になってくれた事でもう幸せだったんじゃないかなと思います」
「え、…?」
航海が不意に話題を戻し、私はその以外な回答に下がりかけていた目線を彼の顔に向けた。
家族が死んでも涙が出なくて、むしろ清々していた。これが、僕がサイコパスって呼ばれる原因なんです、と、彼は私の目線に気づいてふっと肩をすくめた。
「…多分、丸谷家の方は紫苑さんが狙われてる事に気付いてたと思うんですよね。でも、丸谷家は逃げずにずっと紫苑さんのことを育ててきたじゃないですか。例え、自分達が殺されるかもしれなくても」
「良かったね…」
と、自然と声を発していた。
航海もきっと、最初にここに来た時は沢山のストレスと孤独を感じていたはずだ。
初めての外の世界を前に、味方もいなかった彼は不安も沢山あっただろう。
何かあったら自分で何とかしなければ、と、きっと彼は私が想像出来ない程に周りの人全員を敵とみなしていたのだろう。
「あー…だから、僕の場合は…不謹慎ですけど、家族が死んですっきりしたんです。涙なんて一滴も出ませんでした。…けど、僕が思うに、紫苑さんのご家族は、紫苑さんが家族の1人になってくれた事でもう幸せだったんじゃないかなと思います」
「え、…?」
航海が不意に話題を戻し、私はその以外な回答に下がりかけていた目線を彼の顔に向けた。
家族が死んでも涙が出なくて、むしろ清々していた。これが、僕がサイコパスって呼ばれる原因なんです、と、彼は私の目線に気づいてふっと肩をすくめた。
「…多分、丸谷家の方は紫苑さんが狙われてる事に気付いてたと思うんですよね。でも、丸谷家は逃げずにずっと紫苑さんのことを育ててきたじゃないですか。例え、自分達が殺されるかもしれなくても」