ママの手料理
視界に入り込む俺の白い髪の向こう側に居る彼は、もっと怪訝そうに眉をひそめた。


そんな彼の目と自分の目がぶつかり合った瞬間、俺の心臓は有り得ないスピードで早鐘を打ち始めた。


「あのー、全然拒否ってくれて構わないし、というかまあ拒否られる未来しか見当たらないんだけど」


「…何が言いたいんだよお前」


俺が何を言おうとしているのか全く見当もつかないのだろう、琥珀はそう言いながら左手でタブレットの電源を落とした。


「あのね、……琥珀、」


俺が今どんな気持ちでここに座っているか、君には理解できないだろう。


最初に言っておく、俺は君を愛せて本当に幸せだった。


大好きな君の吐く毒舌も、奇跡とも言える確率で見れる笑顔も、いつも面倒臭そうな顔をしながらもしっかりと家族の面倒をこなすところも、好きになるまではその魅力に気付かなかった。


俺が琥珀を好きになってから、俺には琥珀がどれだけ良い奴かがはっきりと伝わった。


それこそ、紫苑ちゃんと初めて会ったあの日の夜のように、俺が1人で真剣にこの恋について悩んでしまう程に俺は琥珀を愛していた。


けれど、それももう今日で終わりだ。



(…もう後戻りは出来ないのか。大好きだったよ、琥珀)


分かりきっている絶望の未来に向けて、俺はひと呼吸おいてゆっくりと言葉を紡いだ。
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