ママの手料理
腹括って俺の部屋に来たんなら全部説明する位の覚悟も持ってこいよ、と俺の背中に呼びかける琥珀の声に吸い寄せられるように、俺はゆっくりと後ろを振り向いた。


この期に及んでまだ上から目線で、口を開けたら相手を怒らせるような事しか言わない琥珀だけれど、俺は彼のそんな所も含めて全部好きになったのだ。


射抜くような目でこちらを見てくるその人の姿がゆらゆらと揺れているのを感じながら、俺は震える口を開いた。



「…俺は…誰にも言ってなかったけど…男性しか好きにならないんだ。今までも恋愛を経験してきたけど、俺が好きになったのは全員男だった。…それで、俺はずっと前から琥珀が好きなんだ。今までずっと、恋愛対象として琥珀を見てきた」


愛する人にこんな事を言う日が来るなんて、前までは夢にも思っていなかった。


大好きな彼と恋仲になる事は許されないだろうから、せめてこのmirageとしての関係だけは壊したくなくて。


家族として琥珀のコートを脱ぎ着させるのはいつも俺の役目でありたかったし、琥珀の毒舌を聞く為に常にひょうきんな態度を取るのも俺でありたかった。


(…でも、)


「でも、もう分かってるから。琥珀が俺を好きじゃないことも、俺と絶対に恋人関係にならないことも。…どうせ気持ち悪いとか思ってるんでしょ?男好きなのにホストしてて、家族なのに琥珀の事好きになっちゃった俺の事なんて今すぐ視界から消し去りたいよね」
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