へたれライオン 卒業します
(花純side)

「はぁ~
 久々に鬼ごっこした
 本気出しちゃったよ」



疲れはてて
グランドで遊ぶ子供たちを見ながら
座っていると


「はい!」


目の前に
お茶のペットボトルが



なにこれ??
と見上げると
そこには高杉くんが立っていた



「小学生と鬼ごっこなんて
 余裕って思ってたけど
 あいつら足はえーな」



「うん。そうだね」



「ジュースの方が好きかなって思ったけど

 飲んでるのあいつらにバレたら
 欲しい!欲しい!うるさいじゃん

 お茶 嫌いだった?」



「大好き!
 もらっていいの?

 ありがとう」



高杉くんは私の隣に座り込み
ゴクゴクお茶を飲み始めた



「高杉くんって同じ高校の1年生だよね?
 何組?」



「俺は1組

 そいうえば名前聞いてなかったよね」



「春名花純 私は5組だよ」



「じゃあ、春名って呼んでいい?」



「うん」



「そうだ思い出した!
 俺、春名にお礼を言いに来たんだっけ」



「お礼?私に?」



何のことかさっぱりわからず
私は目が点になってしまった



「友達ができたの春名のお陰って
 歩が言ってた

 あいつ家にいるときも
 明るくなったんだ」



「私は大したことしてないよ」



「そんなことない

 歩の口から
 春名のこと何度も聞いてるし」



「私と出会ったときの歩くんって
 友達いなくても平気って強がってたんだ

 私ね
 実は学校では全然違うの

 友達いなくて
 クラスでもボッチって言われてる

 なんか学校での私と歩くんが
 一緒だなって思ったら
 何とかしてしてあげたくなっただけ」



「・・・」



「でも、私のお陰じゃないよ
 歩くんが勇気を出したから

 勇気を出さずに
 学校で一人でいる私とは大違い」



「・・・」



「あ!
 学校で私がボッチっていうことは
 子供たちには内緒にしてね

 子供たちに偉そうなこと言えなくなっちゃう

 それにここは私にとって
 なくてはならない場所なんだ」



高杉くんは
穏やかな表情で
ずっと私の話を聞いていてくれた



なぜだろう・・・



学校でボッチのことなんて
恥ずかしいことなのに
高杉くんにはなぜか話せてしまった
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