香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
私はこの逞しくて優しい腕をよく知っている。
神様、どうか彼であります様に!
ゆっくり目を開けようとしたら、耳元でアレンの声がした。
「お帰り」
目を開けると、愛おしげに私を見つめる彼の顔がすぐ近くにあった。
「アレン!」
彼の首に腕を回しして思い切り抱きつけば、コホンという神官の咳払いが聞こえて……。
どうやら式に戻れたらしい。
国王夫妻も神官も私が異世界に行ってたことに気づいていないようだ。
「汝、健やかなる時も……その命ある限り愛することを誓いますか?」
神官の言葉に、アレンが「はい、誓います」と答える。
少し過去に戻ったみたい。
神官がまた私に同じ質問をしてきて、私も「はい、誓います」と返事をする。
そして、神官は優しく微笑んで言った。
「では、誓いのキスを」
多分、神官に言われなくても私とアレンはキスをしていたと思う。
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