この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 っていうか私、男の人に対して大胆すぎない?なんか風邪引いちゃ駄目だって思って、特に深く考えずにここまで来たけど、これって……なんか、恋人に対してやるみたいな……?

 女子校育ちは男に耐性がない。どうしよう。
 何が起こるか全く予測出来ていないらしいローデリヒさんは、訝しげに私を見上げる。ここでやっぱりやめる、ってのも不自然だ。

 深く考えちゃ駄目だね!深く考えるな!私!
 自己暗示を掛けつつ、勢いのままにタオルを広げて彼の頭に被せた。


「わっ?!」


 驚きの声を上げたローデリヒさんはタオルを退かそうとしたけど、それよりも素早く私はわしゃわしゃとタオルドライを始める。ローデリヒさんもそれが分かって、中途半端に上げた手を大人しく下ろした。

 再び沈黙が舞い降りた。けれど、さっきみたいな気まずさはなくて、ローデリヒさんの金髪やっぱりキラキラしてて理想の王子様みたいだ。
 王子様なんだけどねこの人。


「……身体は本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。今は気持ち悪くないんで、ちゃんと水分と軽食取っておきます」

「……ああ」


 歯切れの悪そうに頷いたローデリヒさん。しばしの間黙っていたけど、やがて重々しく切り出した。
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