この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 何よりローデリヒさんが、私の事を考えてくれている事が嬉しかった。
 ただの女子高生って言葉で言い訳して、ずっとその場で立ち止まっていたままの自分が一歩だけ、前に進めた気がした。

 本当は私じゃなくて、アリサに役目を早くバトンパスしたい気持ちも残ってる。まだまだ怖い事は沢山ある。

 ローデリヒさんは子供が生まれたら、ちゃんと面倒見てくれそうだ。アーベルくんと一緒にいる所を見てて予想出来る。


「中絶は絶対にしません。……私が嫌なんです、きっと。……だけど、覚悟もまだまだ出来ていないし、普通に辛いので、泣き言は言ってしまうかもしれません」


 私の気弱な声に、ローデリヒさんは少しだけ泣きそうな顔をして微笑んだ。


「ああ、気が済むまで言ってくれ。……頼りないかもしれないが」

「いえ、ローデリヒさんは結構心配してくれましたし。今までいきなり妊娠って事で、全然心の整理がつかなくて……。逃げたいってずっと思ってたから……」

「そうか……。気付かなくてすまなかった」
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