この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
言葉の意味を考えた。
私にとっての〝今〟の平穏ってなんだろう、と。
〝過去〟のアリサの平穏は、あの高い塀に囲まれたお屋敷の中で過ごすことだったのかもしれない。
でも、私は違う。
私はアリサ・セシリア・キルシュライトじゃない、達川有紗だ。身分は女子高生。
いきなり結婚、妊娠している所からして、全く平穏じゃない。むしろ波乱しかない。
ここで大人しく閉じこもっている事が、私の為になるのかと問われれば、私には全く分からない。何も解決策が思い付かない、そう表した方が正しい。
中身がアリサ・セシリア・キルシュライトじゃない、そう言えば話は早いのかもしれない。
けれど、ここにはアリサの味方ばかりで、私・の味方なんていない。どんな状況に転ぶかが未知数。それが怖くて、中々切り出せない。
ジギスムントさんの言う通り、ただの記憶喪失だったら良かったのに……。
――それに、ローブの少女の事もある。
私の能力が正確ならば、あの子はアリサの味方なんじゃないかとも思う。
だって、始終私の事を心配してくれていた。私に何かしたかったら、ローちゃんみたいに吹っ飛ばしていたはず。
それなのに私とアーベルくんだけ、何ともなかったし。
私にとっての〝今〟の平穏ってなんだろう、と。
〝過去〟のアリサの平穏は、あの高い塀に囲まれたお屋敷の中で過ごすことだったのかもしれない。
でも、私は違う。
私はアリサ・セシリア・キルシュライトじゃない、達川有紗だ。身分は女子高生。
いきなり結婚、妊娠している所からして、全く平穏じゃない。むしろ波乱しかない。
ここで大人しく閉じこもっている事が、私の為になるのかと問われれば、私には全く分からない。何も解決策が思い付かない、そう表した方が正しい。
中身がアリサ・セシリア・キルシュライトじゃない、そう言えば話は早いのかもしれない。
けれど、ここにはアリサの味方ばかりで、私・の味方なんていない。どんな状況に転ぶかが未知数。それが怖くて、中々切り出せない。
ジギスムントさんの言う通り、ただの記憶喪失だったら良かったのに……。
――それに、ローブの少女の事もある。
私の能力が正確ならば、あの子はアリサの味方なんじゃないかとも思う。
だって、始終私の事を心配してくれていた。私に何かしたかったら、ローちゃんみたいに吹っ飛ばしていたはず。
それなのに私とアーベルくんだけ、何ともなかったし。