この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 それに、『あの男の手から、助けなければ』そう彼女は強く思っていた。

 あの男――、それを指す人物が私の知っている範囲内で答えられるとするならば、ローデリヒさん、ジギスムントさん、国王様位しかいない。

 そして、知らない男の人の声も気になる。


『ローデリヒ・アロイス・キルシュライトを僕は絶対に許さない。アリサ、君を必ず助けに行くから』


 彼はそう強く思っていた。知らない男の人と、ローブの少女が繋がっているのなら、あの男はローデリヒさんということになる。

 なんでローデリヒさんを敵視してるんだろう?
 考えても全く分からない……。

 分かるのは三人共、多分アリサの味方だって事だ。
 アリサの味方同士の争い……?
 訳わかんないなこれ。

 それにアルヴォネンの人達が来ている時の襲撃だったから、関係が全くないとは思えない。

 うーん、と私は頭を捻った。


「どうした?」


 黙り込んだ私の反応に、ローデリヒさんが眉を寄せる。


「なんだか、……なんだろう?」
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