この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
私がふしだらだという噂は勿論、おじ様の耳にも入っていた。私の能力を知らず、ルーカスの婚約者だと内定している事だけを察知していた一部の貴族が、猛反発したのは当然の流れだろう。
ふしだらな女を国王の、王太子の傍に置くのは如何なものか、と。
だから、それを利用させてもらった。ルーカスと共に。
「おじ様。最近私が傍にいるせいで、おじ様に対する不信感が積もっているのを感じてるの。ルーカスの為にも、きっと良くないと思うんだけど……」
切り出したのは私だった。おじ様の部屋に私とルーカスで押し掛けた。
ルーカスも私の言葉を引き継いで話し出す。慎重に言葉を選んでいた。ずっと私とおじ様を引き離したいが為に、動いてきたから。
「父上。最近アリサへの刺客がどんどん増えているんだ。このままではアリサの身が危険だから、どこかに避難させたいんだ。
――父上は、アリサに死なれたら困るだろう?」
その時、おじ様はアメジストの石のように恐ろしく無機質な瞳をしていた。冷たく見下ろされて、手のひらに冷や汗が滲んだのを覚えている。
ふしだらな女を国王の、王太子の傍に置くのは如何なものか、と。
だから、それを利用させてもらった。ルーカスと共に。
「おじ様。最近私が傍にいるせいで、おじ様に対する不信感が積もっているのを感じてるの。ルーカスの為にも、きっと良くないと思うんだけど……」
切り出したのは私だった。おじ様の部屋に私とルーカスで押し掛けた。
ルーカスも私の言葉を引き継いで話し出す。慎重に言葉を選んでいた。ずっと私とおじ様を引き離したいが為に、動いてきたから。
「父上。最近アリサへの刺客がどんどん増えているんだ。このままではアリサの身が危険だから、どこかに避難させたいんだ。
――父上は、アリサに死なれたら困るだろう?」
その時、おじ様はアメジストの石のように恐ろしく無機質な瞳をしていた。冷たく見下ろされて、手のひらに冷や汗が滲んだのを覚えている。