この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 男とアーベルの間で派手な閃光と共に、先程よりも強い爆発が起きる。鉄板を落としたような酷い音が鳴った。爆風に合わせて距離を取ったアーベルだったが、男はその場に留まったらしい。涼しい顔で立っている。足元の絨毯は焦げ、煙をあげていた。焦げ臭い臭いが広がる。

 身体の力を抜いて立っている男は、目を細めてアーベルを上から下まで眺める。騎士団の隊服ではなく、軍服のアーベルに、まあ、服はどうでもいいかと何やら一人で納得していた。


「……それにしてもお前の光魔法、そんなに強くないなあ。もしかして、あんまり光属性の魔法得意じゃね〜の?」


 その通りだった。
 少なくとも目の前の男の方が、アーベルより光属性魔法の扱いは上手かった。

 元々魔法には、発動する為に呪文を唱えてから、魔法名を言うという過程が存在する。
 しかし、そんな悠長な事を戦場でやる訳にはいかない。呪文を唱えている間に殺されてしまう。

 だから、魔法名だけ言う省略化か、一番の理想は何も唱えずに魔法を発動するのが当たり前。

 属性に対する適正があればある程、難しい魔法が使えるようになるし、省略化や魔法名を唱えなくて済む。そして、適正がありすぎる場合、常時魔法が発動している状態になる事がある。アーベルの知る限り、母親(アリサ)の精神属性や隣国の国王(ルーカス)の身体強化。

 つまり、魔法名を唱えなければならないアーベルよりも、何も唱えずに魔法が発動出来る男の方が、光属性に対する適正が高いのだ。

 もしかしたら、父親(ローデリヒ)位はあるかもしれない。
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