この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「でも、母上が王妃になっていたら、もっと荒れていただろうな。子供が私一人しかいないから、私が王太子になっているが……、私の他にいればそちらを王太子にしていただろう」
「えっ、ローデリヒ様が長子でもですか?」
「そうだ」
やや煩慮の色を見せたローデリヒ様だったが、一つ息を吸った。
「これも話していなかったが……幼い頃、毒で死にかけた事がある。幸いにも命は助かって、後遺症もなかったが、かなり血を吐いて一時期は本当に危うかったらしい。その事がすっかりと堪えた母上が、私を危ない目に合わせたくないと仰ったそうだ」
ローデリヒ様にしては珍しく、唇の端をつりあげて笑みを作る。
「笑ってしまうだろう?私は王族の直系なのに、危ない目に合わない訳がないというのに。自己の幸せを望む姿勢は、本当に、人を使う側の人間ではなかったのだ。母上は」
反論は、出来なかった。ローデリヒ様の言うことは正しい。正しいのに。アーベルとお腹の子供がいる今となっては、ローデリヒ様のお母さんの気持ちが痛いくらいによく分かる。
きっと、アーベルが血を吐く姿を見てしまったら、苦しいし代わってあげたいって思ってしまう。自分の子供が可愛い。代わりにどこかの子供が犠牲になってしまう可能性だってあるのに。
「えっ、ローデリヒ様が長子でもですか?」
「そうだ」
やや煩慮の色を見せたローデリヒ様だったが、一つ息を吸った。
「これも話していなかったが……幼い頃、毒で死にかけた事がある。幸いにも命は助かって、後遺症もなかったが、かなり血を吐いて一時期は本当に危うかったらしい。その事がすっかりと堪えた母上が、私を危ない目に合わせたくないと仰ったそうだ」
ローデリヒ様にしては珍しく、唇の端をつりあげて笑みを作る。
「笑ってしまうだろう?私は王族の直系なのに、危ない目に合わない訳がないというのに。自己の幸せを望む姿勢は、本当に、人を使う側の人間ではなかったのだ。母上は」
反論は、出来なかった。ローデリヒ様の言うことは正しい。正しいのに。アーベルとお腹の子供がいる今となっては、ローデリヒ様のお母さんの気持ちが痛いくらいによく分かる。
きっと、アーベルが血を吐く姿を見てしまったら、苦しいし代わってあげたいって思ってしまう。自分の子供が可愛い。代わりにどこかの子供が犠牲になってしまう可能性だってあるのに。