この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 気管に入ったらしく、むせながらイーヴォは答えると、ローデリヒは難しい顔をして押し黙る。何をそんなに悩むことがあるのかと、落ち着いてきたイーヴォは続けた。


「俺だって婚約者とイチャイチャしたいですよ。そりゃあ、健全な十九歳の男ですから」

「イチャイチャ……」

「まあ、俺はヴァーレリーの事が好きですから、キスだってしたいし、まあ普通にその先もしたいですよ。まあ、ヴァーレリーが相手だから特にムラムラするって感じなんですけど」

「ムラムラ……」


 完全にイーヴォの言葉を反芻するだけになってしまったローデリヒ。その様子に中々の重症なんじゃないだろうか?とイーヴォは頭を抱えたくなった。


「……そんなに欲求不満なら、娼婦でも呼びます?」

「要らん。婚外子は作りたくない」

「そういえば百発百中でしたね……」


 嫁が妊娠しているから浮気する男はいるにはいるが……、ローデリヒも当てはまるタイプだったのか?いや、一人目の時はそんな事はなかったか……と、イーヴォは内心首を捻る。


「前にアリサを抱いている時も理性的だった。油断したらこちらが()られそうだったからな」

暗殺者(アサシン)でも抱いてるんですか?」

「……だが、キスだけであっさりと理性を飛ばした」

「はあ……」


 何を聞かされているのだろうか、これは。
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