この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ハイデマリー様とローデリヒ様の間に見えない火花が散る。それを遮ったのは、悔しそうな国王様の呻き声だった。


「くっ……!ローデリヒは百発百中だからワシの苦労が分からんのじゃ!あれだけ側室おったというのに、ローデリヒしか産まれず、種無しと言われたワシの苦労が……っ!!」


 腕で目元を覆いながら、エーレンフリート様に縋り付いた。「ワシの苦労を分かってくれるのはエーレンフリートだけじゃああ」なんて言っている。そして、エーレンフリート様の膝で涙を拭きはじめた。流石のエーレンフリート様も引いた顔をしている。

 ローデリヒ様はその様子から宰相の方へと視線を向けた。


「宰相は……カウンセラーを別の者に変えた方がいいんじゃないか?」

「もう18人目ですよ?!約1年に1人交代なんですが!!」

「わ〜カワイソ。元嫁引き摺りすぎじゃ〜ん。同性として女抱けないのは同情はするけど、気持ち悪いな〜」


 絶対可哀想と思ってない声でエーレンフリート様は宰相に形だけの同情をした。ハイデマリー様が深々と呆れたような溜め息をつく。確かにこの人達だとキルシュライト王族の将来が心配になるのも少し分かるけど……。


「それにしても、ローデリヒ。お主、一緒に寝たワシの側室の事はどうするんじゃ?既成事実じゃろう?」

「既成事実もなにも、病人として倒れてただけですが……?」

「まあ、そう言わずとも。会えば気に入るかもしれんしの?」

「会いたくないです」
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