この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 祖国のアルヴォネンでも腹に一物抱えてる人はいっぱいいた。キルシュライトでも居ることは、やっぱりっていう納得しかなかった。衝撃もない。……でも、あの人達のタチの悪い所は、完全にキルシュライト王国とローデリヒ様の事を思って動いているっていう所かな。

 たぶんそれだけでは無いのだろうけれど。

 私の能力だとここまでが限界だった。
 もしかしたらローデリヒ様も自分の事を思った上の行動だと、なんとなく感じ取っているのかもしれない。すごく怒ってはいるけど、拒絶はあまり伝わってこない。

 抱き締められる。いつもよりローデリヒ様の体が熱い。やっぱり媚薬が抜けきっていないんだと思う。


「……側室なんて要らない、要らないんだ……」


 その声がいつもとあまり変わらないのに、どこか小さな子供のように怯えた感情が伝わってくる気がして、

 私は彼を抱き締め返すしかなかった。



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