この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「やっぱり怒った感じかのう?」

「多分怒ったのではないかしら?」

「何故ですかね?」


 ローデリヒが去っていった扉を見つめて国王が呟く。ハイデマリーも首を傾げ、ゲルストナーも眼鏡のブリッジを押し上げた。床に座ったままのエーレンフリートも訳が分からないといったように目を丸くしている。


「むしろ良心的ではないかしら?側室が出来ると確定した後に王太子妃に伝えるより、話し合いの段階で加えておいた方が、彼女自身も王太子妃の地位を脅かさないような者を選べるじゃない?」

「ええ。やはり跡継ぎの子供がいるとはいえ、外国の方ですからね。国内の後ろ盾があまりにも大きい者を側室にすれば、自分の立場がなくなってしまう。過去にも例がありますからね」

「ゲルストナー?それ、わたくしの事を言っているのかしら?」

「い、いえ、そういうことでは……」


 ハイデマリーに睨まれたゲルストナーは、途端に勢いを失ってしどろもどろになる。エーレンフリートは飽きてきたのか、面倒くさそうに口を開いた。


「ローデリヒにも好みってもんがあるんじゃね〜の?ほら、この女胸ないし?」
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