この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 文武両道のヴァーレリーは幼い頃から文官になりたかったのだが、ヴァーレリーの父親が大反対していた。
 これに反抗していたヴァーレリーだったが、父親が最近戦争地帯の後処理も文官はするんだぞーーと半ば脅しを掛けたので、それ位平気だ、と半ば強引にイーヴォを介してローデリヒに連れて行ってもらえるよう頼んだのだった。

 個人的にローデリヒは昔から顔馴染みであるヴァーレリーの才能は買っていたので、侍従という地位に取り敢えず就けて、一ヶ月間イーヴォと共に文官の仕事見学を兼ねて連れて回っていた。
 勿論戦争地帯にも連れて行ったが、一応安全がかなり保証されている場所だ。

 だが、戦争地帯に行ったということが余程堪えたのか、勝手に危ない場所に行かれるよりは、とヴァーレリーの父親は折れたのである。


「文官になるまででいい。一つ頼まれてはくれないか?」

「なんでしょう?」


 ヴァーレリーは首を傾げた。肩につかない位の栗色のサラサラとした髪が頬に掛かる。


「アリサと友人になってやってほしいのだ」

「……え?」
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