この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「あ、アーベル寝たんですか?」

「ああ。今日は色々あったからな。髪の毛が濡れている。風邪をひく」

「……ああ、その事なんですけど」


 この部屋にはドライヤーっぽい温風機がない。魔石とかいう宝石みたいな見た目の石で動くやつなので、かなり高価らしい。流石にタオルドライになっちゃうかなあと思って、ガシガシと勢い良く拭いていた。私、髪の毛結構長いんだよね……。

 そのままを話すとローデリヒ様が手招きをした。
 誘われるままに近付く。ローデリヒ様の隣りに腰を下ろすと、両手を伸ばしてきた。私の頬の横を通り過ぎた所で一度止まる。

 フワッとかすかな空気の流れと、空気がほのかに温かくなったのを感じた。


「よし、乾いた」

「……あ、本当だ」


 自分の横髪を触ると、ドライヤーを使ったみたいに乾いている。相変わらず便利だよねローデリヒ様の魔法。それに比べて私の魔法ときたら……、って高頻度で感じてしまう。
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