ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】
「うん、今、想のおうちにいる……。ねえ、お兄ちゃんは知ってたの……?」
それを問うたきり、美結は言葉を継がなかった。
兄さんから返事がなかったのかもしれない。
「兄さん」
僕から呼びかけると、兄さんは『想⁉』と応じて来た。
「雨、もう少しでやみそうだから、やんだら家に送ってく。……美結、それでいい?」
僕が確認すると、美結は少し黙ってから、小さく肯いた。
「ん。兄さん、俺が知ってるってこと、おじさんとおばさんに話しておいて」
「!」
僕の言葉にびっくりしたのは美結だった。
美結の手からスマホを取って、通話を終了させてからまた机に置いた。
「想……」
「ごめん、全部ではないと思うけど、少し前に兄さんから聞いてた」