ど天然彼氏の可愛がり方。-六花の恋・外伝-【完】

「美結を構成している中に俺が大きいのは十分わかってるよ。あの日から、美結がたくさん教えてくれたから。でも、その大半が俺で出来ている美結だけが遺されたとしても、その姿で生きることは出来るよ。俺が欠けた世界で、俺が欠けることない美結が生きることは出来る。

……思い出って言うのかな。美結が生きることをやめる理由じゃなくて、美結が生きていく支えになれると思うんだ。だから、美結が折れないようにするために、めいっぱい甘やかしまくるって言ったんだよ」

……これを伝えることは、兄さんに言われたときから考えていた。

もし僕が、美結の父親の立場だったら、って。

……絶対、大好きな人には生きてほしいって思ったんだ。

「じゃあ、想、……もしも、の逆の場合は……?」

「っ―――」

それは、僕より先に、美結が……。

「想が私にわがまま言うんなら、私も言っていいよね?」

「……いいよ」

僕が瞼をおろして答えると、美結は足を停めた、僕も隣に立ち止まる。

「生きて。生きて、幸せになって」

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