希空~空姫に希望を。~
「――こうして希空は誕生したのでした」
真理亜さんがノートから顔を上げてこちらを見てくる。
流れ的に、この話は希空ができるまでの実話だよな…?
ってことは、希空の本当の意味は、希望が空になった少女を助ける為の族…?
「今のは幹部以上にだけ話す希空の真実だ。
代々恒例で次期幹部メンバーに空姫が読んでいる」
「つまり、ね。
空姫はこの世に希望を持っていない人しかなれないの。
唯一の条件が、これ。」
真理亜さんが優しく微笑みながら言う。
「じゃあ、真理亜ちゃんも絶望してたの?」
「守唄と旋矢は知らないのか。
ということは調もか。
真理亜は冬の冷たい雨の中、
傘もささずに突っ立ってたんだ」
「ちょっと!言わなくていいよ!
思い出したくない…」
「数分様子を見てたら
急に倒れたからここに連れてきた。
そうしたら先代に丁度いいからと言われて
俺らが4代目希空幹部に任命された」
先々代の人すげぇ…。
丁度いいからって交代するか?フツー…。
確かに真理亜さんは最初の挨拶の時すごく暗かったしトゲトゲしていた。
今となっては全くその面影はないけど。
「見てもわかるだろうが、
コイツはもう大丈夫だ。
だから新たな空姫を迎えて
幹部以上の入れ替えをする」
伝統を守る為に。
そう言う総長はやっぱりすげぇカッコよかった。
「期限は1週間だ。
連れてこれなかったらお前ら希空脱退な」
「脱退!?」
「あぁ。
お前らならやれるだろ
つーかやれねぇなら無能だからいらねぇ」
「わかり…ました…」
諷賀が歯切れの悪い返事をした。
こうしてオレらの空姫探しがスタートしたんだ。