希空~空姫に希望を。~

3日くらいで少しはマシになると思ったけど、全くそんな傾向はなくて。



オレはカラオケパーティーを企画した。



少しでもシイナがオレ達―特に諷賀と守唄―と仲良くなってもらえるように。



普段のシイナの言動から、シイナが常識というか、世界を知らないことはわかっていた。




まるで監禁でもされてたんじゃねぇかってくらい"初めて"が多いのだ。


スマホも持ったことがなかったし、この辺りの遊べる所も全く知らなかった。



どこにでも売ってそうなポテチを渡したら、初めて食べるって言うんだぜ?


毎日違う種類のおかしをあげてるけど、1つも食べたことのあるものがない。




後から知ったけど、就任式パーティーの時に食べたピザとかのジャンクフード系も初めて食べたものだったらしい。



食べ物だけじゃなくて、ゲームとか漫画とかも初めて見たと言うし、本当に不思議なくらい何も知らないのだ。





記憶喪失かと思って聞いたけど、首を振られただけだったし。



もちろんそこまで世間知らずな理由は教えてもらえなかった。






で、だ。


きっとカラオケも初めてだろうから、サプライズ的な感覚でシイナを倉庫から連れ出した。



オレ達希空がよく利用するカラオケ店。


予約しておいた1番奥の広い部屋に通される。



「シイナ!カラオケ、来たことあったか?」



「…ない。初めて」


目線だけで部屋を見渡すシイナに話しかけると、やっぱり初めてだという答えが返ってきた。



「俺も初めて来た」


七瀬がシイナをイスに座らせながら口を開く。



「マジかよ」


それは予想外だ。




別に問題はねぇけど、なんかシイナの為にやったつもりが七瀬の為にもなってる感じが嫌だ。



「悪かったな、初めてで」



「…何も言ってねぇよ」


相変わらずオレは顔に感情が出やすいらしい。



ツンとした態度の七瀬に謝られてしまった。


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