美男子の部屋に保護されました
そうこうしている間に、気づけば24日。

今日は、私も大和さんも仕事だけど、明日は休み。

だから、今日は、閉館後に大和さんがディナーに連れて行ってくれることになってる。

私は、少しうきうきしながら、1日の仕事を終えた。


去年までは、たかがクリスマスだと思ってた。

一人でホールのクリスマスケーキを食べるわけでもなく、小洒落たレストランに行くわけでもない。

というか、1年で一番、一人で外食し辛い日だと思う。

いつも通り仕事をして、家に帰って手作りの夕食。

せいぜい献立が唐揚げになったり、ローストチキンになったりするくらい。


なのに、大和さんとお付き合いするようになった途端、クリスマスが楽しみなイベントに変わった。

人の感覚って不思議だな。



6時半に閉館して、更衣室に向かう。

制服からいつもより少しお洒落な洋服に着替え、数日前からそこに置いてあった紙袋を手に図書館を出る。

今日は通用口の外で大和さんが待っててくれた。

「お待たせしました。」

と私が言うと、大和さんは「お疲れ様」と私の手を握って歩き出した。

出会った頃は、明るかった閉館時間だけど、冬至を過ぎた今は、すっかり日が落ちて夕方と言うより夜と言った方がしっくりくる。

大通りでタクシーを拾い、レストランに向かう。

白い光に彩られた街路樹のイルミネーションに差し掛かった所で、大和さんはタクシーを止めた。

「レストランはもう少し先なんだけど、
せっかくだから歩いて行こう?」

「はい!」

嬉しい。

私たちは指を絡めて手を繋ぎ、今にも雪が落ちてきそうな寒空のもと、仲良く身を寄せ合って歩いた。

「綺麗ですね。」

私が呟くと、

「そうだね。」

と大和さんも答える。

白い息も白いイルミネーションの中で見ると、素敵に見えるから不思議。


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