先生の全部、俺で埋めてあげる。



「先生、傘は?」


「忘れちゃった」


「俺もです」


「困っちゃったね」


図書館の前で2人で立ち往生。




「すみません、俺が引き止めたせいで」


「気にしないで。でもこの雨、当分やみそうにないね」


先生はずっと雨を眺めている。




そう言えば、先生が初めて学校に赴任してきた時も、こんな大雨の日だった。




「先生の家はどこらへんですか?」


「ここから歩いて10分ぐらいのとこ」


そんなに近くに住んでたんだ。


「里巳くんは駅よね。ここから駅だと…」


「15分ぐらいですかね」


「遠いね」


結局何の解決策も浮かばないまま、2人で雨を眺めていた。



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