先生の全部、俺で埋めてあげる。
「え?」
先生は驚いた顔で俺を見る。
「ここにいても雨やみそうにないので、送ります」
そう言ってブレザー越しに先生の肩をギュッとする。
「だめだよ、里巳くんが風邪引いちゃう」
先生はせっかく俺が被せたブレザーをとって、俺に返してくる。
なんでだよ。
少しはかっこいいことさせてよ。
「雷怖いんでしょ?」
俺はその返ってきたブレザーをもう一度先生に被せた。
「行きますよ」
先生が遠慮してしまう前に、強引に先生の手を握って雨の中に飛び込んだ。
雨の中、走っている間も何回か雷が鳴っていて。
その度に先生は俺の手をギュッと力強く握った。
その度にドキドキして。
俺が先生を守りたい、って。
そう思った。