先生の全部、俺で埋めてあげる。



前にもあった。


校外授業の時。


俺がサボって寝てるのを勘違いして、先生はすごく心配そうに俺のところに来た。


あの時、あまりにも必死だった先生を見て、俺は笑っちゃったけど。




今日の先生も過剰なくらい俺を心配してくれてる。


だって、ただの貧血に”生きててよかった”なんて言葉をかけるだろうか。




「先生、大げさです」


そう言うと先生は驚いた顔をした。




「起きてたんだ…」


「はい」


それ以降、お互い何も喋らなくて。


静かな時間だけが過ぎていった。



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