先生の全部、俺で埋めてあげる。



今度は先生の手をギュッと握る。


そんな俺の手に、先生の手が反応するかのように、
ギュッと握り返してきた。




え…?




起きてるのかと思ってドキッとした。




そんな時、病室のドアが開いたから、
急いで先生から手を離した。


入ってきたのは家政婦の今井さんだった。




「あら」


今井さんが寝ている先生を見て驚いたから

「担任だよ」

そう言うと納得したように頷いた。




「先生、起きて下さい」


そう言っても先生は起きなくて。


「先生」


体を揺らすと先生はゆっくりと顔を上げた。



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