先生の全部、俺で埋めてあげる。


俺がクレープを作ってる途中で

「あれ、柾木くん達まだいたの?」

クラスの様子を見に来た加ヶ梨先生と目が合った。


今日初めて目が合ったのに、先生はすぐ逸らしてしまった。


俺は自分でも気が付かない間に、そんな先生をずっと見ていた。




「夕惺がクレープ食べたいって言うからー」


ダルそうに答える柾木。


「先生も食べます?」


「はー?俺には自分で作れって言ったくせに、先生には作ってあげんの!?
おかしくない?!」


うるさいなー。


「食べるか聞いただけなんだけど」


「じゃあ、お言葉に甘えて柾木くんに作ってもらおうかな」


「え、先生まで?!先生も俺をいじんの!?なんなの!?」


柾木は理解できないと頭を抱えた。


そんな柾木を見て、先生はめちゃくちゃ笑ってる。




先生。


俺、ちゃっと普通の生徒っぽく先生と喋れてますか?


今の俺には普通が全然分からないから、ちゃんとできているのか不安です。



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