先生の全部、俺で埋めてあげる。



結局、柾木の分も先生の分も俺が作って。


職員室に戻ると言っていた先生と一緒に校内を歩いた。


こうやって、生徒として隣を歩けるんだから、贅沢は言ってられないんだと思う。




1人余計なやつはいるけど。




先生と2人きりで、堂々と文化祭をまわれたらな。


そんなことを思っても、どうせ叶わないのは分かってるのに。




「ちょ、俺トイレ!」


トイレの前を通ったときに柾木がトイレに行って。


柾木は自分のクレープを先生に渡した。


クレープを受け取った先生も一緒に待っていてくれる。




「柾木くん、ずっとあの調子なの?」


「割と」


「大変ね」


先生は笑って、俺を見た。




なのに、またすぐに目を逸らす。




なんで?




それがすごくよそよそしく感じて。


悲しくなった。



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