先生の全部、俺で埋めてあげる。



2回目の告白だったのに。




「小銭は漁らないよ…」




「そこですか?」




拍子抜けした俺の言葉に、先生は堪えきれないような感じで笑った。


久しぶりに見た先生の笑顔。




胸がぎゅーっと苦しくなった。




「どんな先生も好き」




俺は先生の手を無意識に握っていた。


先生の手がビクンと反応するのが分かって。


そのまま離れてしまわないように、ギュッと握った。




先生と目が合う。


先生と目が合うと逸らせなくなる。


いつも先生に引き込まれそうになる。



また、あの時と同じように、時間の経過が分からなくなる。


ほんの数秒なのに、先生と見つめ合っている時間が永遠に感じる。



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