先生の全部、俺で埋めてあげる。



「俺、先生が好き。
それって理由になりませんか?」




「ならないよ…」


先生は俺の望んでる言葉をくれない。


それなのに、おとなしく俺の胸の中に収まっていてくれるのは、ただ誰かに見られたくないから?


本当にそれだけ?




「俺は会いたいよ。これからもずっと」




「…」




先生と最初に図書館で会った時。


声をかけることすらできなかった。


もう二度と先生と会うことなんてないんだろうと思った。


何もできない自分に後悔した。




もうそんな思いはしたくないんだ。




「お願い先生。俺の前からいなくならないで…」




俺はまるで泣き言を言っているかのように、先生にすがった。



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