先生の全部、俺で埋めてあげる。



「私だって…」


先生はそこまで言って口を閉じてしまった。




「私だって、なに?」


「進路のことじゃないなら私行くね…」


都合が悪くなると、すぐそうやってはぐらかそうとする。


先生は無理やり俺から離れようとするけど、俺はそんな先生の行く手を遮る。




イヤだ。


まだ話は終わってない。




「昨日、先生のお兄さんと会いました」


そこまで言うと先生は動きを止めた。


「先生のこと、色々聞きました」


先生は明らかに動揺しているように見えて。


「なにを…?」


恐る恐る聞いてきた。


そんなに俺に知られたらまずい何かがあるのかな?




「俺、ずっとお兄さんのこと先生の彼氏だと勘違いしてました」


「うん…」


「先生はそのこと、気づいてましたよね?」


「…」


「なんで教えてくれなかったんですか?」


訂正する場面なんてたくさんあったはずなのに。



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