先生の全部、俺で埋めてあげる。



放課後、図書館で先生を待っていると、先生は来てくれて。


いつもみたいに、俺の目の前の席に座る。


別に何かを喋るわけでも、視線を合わせるわけでもなく。


ただ同じ空間にいる。


俺は本を読んで、先生は資料を広げている。


それだけでも嬉しくてしょうがなくて。




先生のこと諦めないでよかったなって思った。




それから毎日のように先生と図書館で会った。


本当は先生と話したり、先生に触れたい気持ちはたくさんあるけど、今は我慢。


そう思いながら過ごした。


先生が学校を辞めるその日まで。



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