先生の全部、俺で埋めてあげる。



「なんのことですか?」


青山さんが言う”彼女”って言葉に思い当たるのはたった一人だけ。


でも、その言葉の情報量だけでそう断定はできなくて、なんとなくとぼけてみた。


「あの人のこと待ってるんですよね?いつも向いに座ってたあのキレイな人」




青山さんの俺を見る目が真っすぐで。


全てを見透かされてる気がする。




「えっと」


この人は、俺と先生の関係を知っているんだろうか。


ずっと俺たちのやり取りを見ていたんだろうか。


ただ向いの席に座っていただけなのに、そこまで分かってしまうものなんだろうか。



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