先生の全部、俺で埋めてあげる。



「私、青山って言います」


「里巳です」


「心配しなくても大丈夫ですよ、あの先生が来た時しか連絡しませんから」


俺は何も言ってないのに、俺の心配事なんて手に取るように分かっているのが怖い。


でもたぶん、悪い人ではなさそうかな。




「ありがとうございます、よろしくお願いします」


俺は深々と頭を下げると、


「そんなに好きなんですね…感動してます」


「…はぁ」


俺が顔を上げると、青山さんは自分の両手をギュッと握りしめて、キラキラした目で俺を見ていた。


なんかこの人と喋ると疲れる…。


そう思いながら、その日は図書館を出た。



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