先生の全部、俺で埋めてあげる。




秋になって少し肌寒くなってきた。


この時期になると、あの雷の日のことを思い出す。


図書館で二人で雨宿りして、初めて先生のアパートに行って。


初めてキスをした。


今考えてもあの時の俺はどうかしていた。




「おい聞いてるのか」




教授の声で我に返って。


また考え込んでしまっていたことに気づく。


「研究結果、明日までにまとめとくように」


「はい」



最近入ったゼミの研究室。


ここの教授は結構スパルタで。


「この量鬼かよ」


無理難題を押し付けて、自分はいつもどこかに消えてしまう。




そんな中で見つけたんだ。


研修室の資料の中に、卒業アルバムがあって。


その中には先生が卒業した年のアルバムもあった。



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