先生の全部、俺で埋めてあげる。
「ねー、先生。俺の話聞いてもらえますか」
「…」
先生は呼吸を整えながら俺の顔を見上げた。
まだ潤んだ瞳でぐしゃぐしゃな顔なのに、先生はなんでこんなにも可愛いんだろう。
「俺、小さい頃から両親が忙しい人たちで、家に誰もいないのが普通でした。
それで1回だけ俺が貧血で倒れた時に、誰にも気づいてもらえない時があったんです」
この話を誰かに話すのは初めてで。
「俺自身は意識がないから後で分かったことだったんですけど。
たまたま忘れ物をした家政婦さんが戻って来て、見つけてくれたんですよね」
先生は黙って俺の話を聞いていてくれる。