先生の全部、俺で埋めてあげる。
「せんせ…」
俺が喋ろうとすると先生は俺の方を向いて、俺の口元に人差指をあてた。
「もう、先生って呼ぶのやめない?」
まさか先生の方から言ってくれるとは思っていなくて。
ずっとずっと呼びたかった先生の名前。
「いいの?」
「いいよ」
先生の目を見つめながら、先生の名前を呼ぶ。
「莉子」
名前を呼ぶだけでこんなにも緊張して。
「なに、夕惺」
名前を呼ばれるだけでこんなにもドキドキする。
「莉子とキスしたい」
そう言って顔を近づけたタイミングで先生のスマホが震えた。
「ちょっと、ごめん」
そう言いながら先生は電話に出た。
こんな時に、電話の方を優先させる先生にちょっとムッとした。