先生の全部、俺で埋めてあげる。



「せんせ…」


俺が喋ろうとすると先生は俺の方を向いて、俺の口元に人差指をあてた。


「もう、先生って呼ぶのやめない?」


まさか先生の方から言ってくれるとは思っていなくて。


ずっとずっと呼びたかった先生の名前。


「いいの?」


「いいよ」




先生の目を見つめながら、先生の名前を呼ぶ。


「莉子」


名前を呼ぶだけでこんなにも緊張して。


「なに、夕惺」


名前を呼ばれるだけでこんなにもドキドキする。




「莉子とキスしたい」




そう言って顔を近づけたタイミングで先生のスマホが震えた。


「ちょっと、ごめん」


そう言いながら先生は電話に出た。


こんな時に、電話の方を優先させる先生にちょっとムッとした。



< 335 / 338 >

この作品をシェア

pagetop