先生の全部、俺で埋めてあげる。



「タッチされた相手にはタッチし返せないんだったよね」


そう言いながら先生は立ち上がって
辺りを見渡した。


多分他の生徒を探している。


「里巳くんもずっとここにいたら捕まっちゃうわよ」

そう言って先生は俺に背を向けて歩いて行った。




「まっ…」




待って。




そう言いそうになって慌てて口を閉じる。


引き止めてどうすんだよ…。


頭をくしゃくしゃとして、俺も立ち上がった。



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