先生の全部、俺で埋めてあげる。



俺は先生への抑えきれない感情を


目の前にいる海香にぶつけるように、唇を重ねた。




せんせ…。




俺は先生をギュッと抱きしめてみたかった。



先生とキスがしてみたかった。




どれも叶わないって分かってるけど。


それでも俺は、心の奥底で望んでしまう。




花火が上がり始めて、何も考えずに夢中でキスをして。




「もう花火始まったよ?」


海香の言葉で初めて花火が始まっていたことに気づいた。




「花火なんて、どーでもいいよ」


そう言ってまた唇を重ねた。




先生にぶつけられなかった感情を重ねるように。


俺は無我夢中だった。



< 96 / 338 >

この作品をシェア

pagetop