先生の全部、俺で埋めてあげる。
俺は先生への抑えきれない感情を
目の前にいる海香にぶつけるように、唇を重ねた。
せんせ…。
俺は先生をギュッと抱きしめてみたかった。
先生とキスがしてみたかった。
どれも叶わないって分かってるけど。
それでも俺は、心の奥底で望んでしまう。
花火が上がり始めて、何も考えずに夢中でキスをして。
「もう花火始まったよ?」
海香の言葉で初めて花火が始まっていたことに気づいた。
「花火なんて、どーでもいいよ」
そう言ってまた唇を重ねた。
先生にぶつけられなかった感情を重ねるように。
俺は無我夢中だった。