桝田くんは痛みを知らない
「それで。君はどっちの味方なの」

「どっちでもないですよ」


 えみるとマサオミくんの話が難しくて入っていけない。


 というか

 いつの間に2人はこんなに仲良くなったのかな。


「数年後の未来。どうなってるでしょうね」

「望んだ未来が待っていないなら。このまま大人になりたくはないね」

「ピーターパンシンドロームですか?」

「掴んでみせるさ。なにを切り捨てても」


 えみるが、なぜか、切なげに笑う。


「先輩は、完璧ですけど。そこだけは不安定で脆いですね。他はどれだけ崩れても、立て直すなり新しく作り変えるなりしちゃいそうなのに」

「君には、わからないんだ。僕が。どれだけ大切にしてきたか」

「見守るだけじゃ手に入りませんよ」
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