桝田くんは痛みを知らない
 そのとき、

 マサオミくんが、目を見開いた。


「別に先輩の背中押すわけじゃないですけど。気持ちは。伝えなきゃ伝わりませんから」


 やっぱりえみるの話はわからないけど、


「そうだね。うん。本当に、そう想うよ」


 マサオミくんが覚悟を決めたように見えて。


 それが、

 マサオミくんとても大きな決断だということが伝わってきた。


「どうか。大切なもの、見失わないでください」


 えみるの気持ちは。

 マサオミくんに、届いたのだろうか。


 マサオミくんは、それ以上は口を開かなかった。
< 229 / 300 >

この作品をシェア

pagetop